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全体会  原発問題​  -3・11はまだ終わっていない-​

 

1.はじめに
 
011年3月11日、東日本大震災、そして福島第一原発事故の発生から、早2年、今の福島がどうなっているか想像がつきますか?
 史上最悪の事故だったと言われた。あれを境に日本が変わると言われた。新聞・テレビは連日福島を追い続けた。なのに、今の福島がどうなっているか、正確に認識している人はどれだけいるのだろうか。
 おそらく戦後最大規模の人権問題を生んだであろう、原発事故。その被害の実態を知るため、まずは福島の現状を知ることから始めてみたい。
 そして、今後どのようにこの問題と向き合って、福島に明るい未来を作っていくのか。福島そして日本の未来のために必要なことを考えてみませんか?

2.福島の現状 ~被害の正確な把握と必要な補償について~

 あの事故の持つ意味は、きっと人によって様々だ。
 ある人は、原発なんて気にしない。お金がもらえてラッキーだったという。
 ある人は、健康への影響が気になるし、怖いけど福島に家も仕事もあるから、福島で生きていくしかない、と決断した。
 ある人は、幼い子供を慮って県外へ避難した。それは今も続いている。
 ある人は、家も仕事もふるさとすらも失った。
 このように、福島の人たちでも、その年齢や職業、居住していた地域や保有財産、家族の構成などにより、原発事故で受けた被害の影響や事故の受け止め方は多様であろう。したがって、各人の多様な被害に応じた補償が必要であるはずだが、現状どうもそうはなっていないらしい。
 東電は自分たちが作った中間指針から外れた補償を頑なに拒む。原発紛争解決センターによるADR申立ても遅々として進まないし、満足する額は得られないのが実情である。そもそも、国にも原発を推進してきた責任があるはずなのに、どうも直接被災者に補償する気はないようだ。
 では、どうすれば福島の人たちは自分たちの受けた被害に相応しい補償を受けられるのか。日夜それを真剣に考え、上手くいかない現状に風穴を空けるべく、事実を調査し、法的構成を考え、当事者と向き合っている弁護士の先生方のお話を聞いて、原発の被害について考えてみたいと思う。
 また、修習生たちが実際に福島に出向いて感じたこと、考えたことを報告する予定である。

3.福島の未来 ~これからの福島に必要なこと~
 福島県には今もなお、200万人近くの人が住んでいる。原発事故を受けて県外に避難している人も6万人程度いると言われている。
 この人々が安心して暮らせる町をどうしたら作ることができるのか。今後、何十年もかけて復興、そして事故前よりももっといい町を作るために、今何が必要なのか。
 原発廃炉の問題、放射性物質の拡散による健康被害の問題、事故以来のコミュニティの分断の問題、原発に代わる雇用の問題、15万人いる避難者の復帰の問題など、山積みの問題が残っている。
 そういった問題に対し、今行われている取り組み及び今後必要な取り組みについて、真剣に考えてみることで、私たちがやるべきことが見えてくるのではないだろうか。
 真摯に福島の未来に向けた取り組みをしている人たちにお話を伺って、それを基にみんなで考えてみよう。これからのことを。

4.終わりに
 あの事故は決して福島だけの問題じゃない。事故の背景には歪な中央と地方の関係があったり、情報隠蔽の問題があったり、エネルギー政策の問題があったり、日本の体質・構造自体が引き起こしたものだと思う。
 この事故をきちんと精査して、福島の人たちに相応しい補償を与えないと日本は何も変わらないのではないか。

 今後も、似たような事故が起きるのではないか不安で仕方がない。

         

・講師
 

 米倉勉先生(弁護士、福島原発(浜通り)被害弁護団幹事長

 飯田哲也さん(エネルギー学者)

 被災された当事者の方
 

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